木曜日20時、不定期更新。 小説、映画について書きます。 推理小説中心です。

絶望的な状況で感じる解放感

 

屍人荘の殺人 屍人荘の殺人シリーズ

屍人荘の殺人 屍人荘の殺人シリーズ

 

物語のエッセンスとして主人公の震災体験が生きているところに今っぽさを感じた。葉村、明智、比留子の三角関係が最後まで縦筋として通っており、読後感がかなり爽やか。

 

絶望的な状況にも関わらず、楽しく読めるのは、停滞したその空間が、楽しげに感じられるからかもしれない。

 

私たちは日常は地獄だ。やるべきことが山積みだ。解決できない問題に、常に頭を悩ませている。そんな日常が壊れてしまい、主人公たちは非日常に放り込まれる。そこでの目的はシンプルだ。ただ生き残ること。それだけである。(もちろん推理小説なので、主人公たちは謎を解こうとするが)その分かりやすさに、なんだか心地よさを感じるのだ。