『やし酒飲み』、構造はシンプル。あの世に行って帰ってくる話
『やし酒飲み』、アフリカ文学。1946年。支離滅裂な話なのかと思っていたのだけれど、かなりしっかりとした構造をしていた。
一言でいうと、あの世に行って、帰ってくる話。やし酒が大好きな男が、また酒を飲みたくて、死んだやし酒職人を探しにいく。男は旅の果てに職人と会い、そしてまた自分の生まれた村へと帰ってくる。
その間、とても長い冒険がある。日本でいえば『古事記』、黄泉比良坂の話のようでもあるし、長い長い冒険の果てに故郷に帰る、ギリシャ文学の古典、『オデュッセイア』のようでもある。
元々、アフリカにそのような骨格を持った話が存在するのか、あるいは西欧の影響を受けた結果、そう編集された文学なのかは分からなかった。研究者の本に当たれば詳しいのだろうけれど、なかなか深掘りするのは大変そう。