木曜日20時、不定期更新。 小説、映画について書きます。 推理小説中心です。

推理小説

『幻の女』、なんでそんなに人気があるの?

幻の女〔新訳版〕 (ハヤカワ・ミステリ文庫) 作者:ウイリアム アイリッシュ 発売日: 2016/06/30 メディア: Kindle版 1964年、舞台はニューヨーク。ある男が妻を殺害した容疑で逮捕されてしまう。彼は無罪を主張するが、すべての証拠が、彼が犯人であることを…

『女には向かない職業』、キャリア一年目の新人を応援したくなる

女には向かない職業 (ハヤカワ・ミステリ文庫) 作者:P.D.ジェイムズ 発売日: 1987/09/01 メディア: 文庫 探偵小説。1972年。主な舞台はイギリス、ケンブリッジ。ロンドンとケンブリッジを行き来する。位置関係はこんな感じ。 主人公はコーデリア・グレイ、22…

『サマータイム・ブルース』、女探偵の奮闘。ならずものと戦うアクションもあるよ

サマータイム・ブルース〔新版〕 (ハヤカワ・ミステリ文庫) 作者:サラ・パレツキー 発売日: 2010/08/10 メディア: 文庫 探偵小説。1982年の作品。生活感にあふれ、生き生きとした描写が楽しい。 『血の収穫』『マルタの鷹』などと同じく私立探偵ものだが、読…

『マルタの鷹』、本心を見せないタフな男が、たった一度だけ気持ちを吐露するのが最高

マルタの鷹〔改訳決定版〕 (ハヤカワ・ミステリ文庫) 作者:ダシール ハメット 発売日: 2012/09/07 メディア: 文庫 前回に続き、ダシール・ハメットのハードボイルド小説。1930年の小説。『血の収穫』とほぼ同時期の作品。探偵、サミュエル・スペードと、鷹を…

『血の収穫』、ハードボイルド小説はここから始まる

血の収穫【新訳版】 (創元推理文庫) 作者:ダシール・ハメット 発売日: 2019/05/31 メディア: 文庫 ハードボイルド小説の代表作を読んでみようと思い、『血の収穫』を手にとった。ハードボイルド小説、黎明期の作品。出版は1929年。世界恐慌が起きた年。昭和…

信用とは裏切られてもいいと思うこと

クビキリサイクル 青色サヴァンと戯言遣い (講談社文庫) 作者:西尾 維新 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2008/04/15 メディア: 文庫 西尾維新さんのデビュー作。天才たちが集められたとある島で、殺人が起きる物語。主人公のセリフ、「ぼくは嘘つきだ」が…

現在価値を計算する

ロング・グッドバイ (ハヤカワ・ミステリ文庫 チ 1-11) 作者:レイモンド・チャンドラー 出版社/メーカー: 早川書房 発売日: 2010/09/09 メディア: 文庫 「ロング・グッドバイ」の中にお金の話をするシーンがいくつかある。例えば、マーロウはレノックスから5…

絶望的な状況で感じる解放感

屍人荘の殺人 屍人荘の殺人シリーズ 作者:今村 昌弘 出版社/メーカー: 東京創元社 発売日: 2017/10/12 メディア: Kindle版 物語のエッセンスとして主人公の震災体験が生きているところに今っぽさを感じた。葉村、明智、比留子の三角関係が最後まで縦筋として…