本当に欲しいものは、友達
少年少女たちの距離の縮め方が絶妙。城に集められた子供たちは人と人との関係をうまく結ぶことができない。その一歩を踏み出すまでを、丹念に時間をかけて描いている。
後半の派手なアクション・シーンもあるけれど、夏くらいまでの細かな心の動きを追う章が印象に残った。
同じ筆者の「冷たい校舎の時は止まる」に近い読後感があった。
舞台装置が似ているからかもしれない。不思議な城や学校に放り込まれた少年少女たちが、その舞台の謎を解くことで外側に脱出する。そして外に出た主人公たちは成長し、新たな自分を発見するのだ。