コントロールできない力
自分をコントロールできない主人公の物語。師匠のような人間と出会い、修行をする。それによって、初めて自分と向き合うことができるようになったかのようにみえるが……という話。
主人公と師匠とその妻の三角関係、そして主人公がどう自分自身と向き合うのかを軸に観ていくと話がわかりやすくなる。ある宗教をモチーフにしているようで、途中で出てくる唐突とも思える要素はそこからきているようだ。現実と関連させて見てみないといまいちピンとこない話だが、そうした外部情報を知った上で見ると、骨格のしっかりした物語が浮き上がってみえるようになる。
自分自身の中にあるコントロール不能な力(しかもスーパーヒーローもののように役立てられるものではない)とどう向き合っていくか。それは難しい問題だ。そしてポール・トーマス・アンダーソン監督が一貫して描いている主人公像でもある。