信じたものがあなたの真実
アメリカ南部のいくつかの州では進化論を否定する教育が行われている。それは聖書と矛盾するからである。またハリウッド映画でプロテスタントの過激な集会を観ることがある。(例えば「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」「キングスマン」「ボラット」など)
なぜそのような行動を取るのだろう。それは自分が信じるものが「正しい」と確信しているからではないだろうか。
私は自分の意見や考えを頑なに正しいと主張することはできない。ましてやそれを人に押し付けたりは(できるだけ)しないようにしている。人にはそれぞれの価値観というものがあると考えているからだ。
だが「この世の中には絶対的に正しいことがある」と考える人はいる。そういった人にとって、自分と違う考え方や価値観は間違っているのだ。
でが間違った人たちに対してどう向き合うか。自分たちと同化させようとしたり、排斥したり、無視したり、許容したりするだろう。その対応は様々だ。
その様々な価値観が融和することなく共存しているのがアメリカであり、そこでは自分たちは正しいというある種の「ファンタジー」が信じられている。
特にアメリカではそのファンタジーを「熱狂的に信じる」傾向が強いという。それはなぜか。そこにはイギリスからやってきたプロテスタントを始めとする移民たちの文化や思想が深く関わっている、というのが本書の主張である。
1600年以降にやってきた移民たちの築き上げた文化や風習がその土地に根付き、今でも続いているのだという。その範囲は広い。政治、宗教、教育だけでなく、消費、差別などの行動にまでその範囲は及ぶ。
神の存在や、死後の世界の実在、予定説などを「熱狂的に信じる」という心性があるからこそ、陰謀論やゴールドラッシュやアメリカン・ドリームやディズニーなどの幻想を信じるのだという主張には頷けるところがある。