木曜日20時、不定期更新。 小説、映画について書きます。 推理小説中心です。

現在価値を計算する

 

ロング・グッドバイ (ハヤカワ・ミステリ文庫 チ 1-11)
 

 「ロング・グッドバイ」の中にお金の話をするシーンがいくつかある。例えば、マーロウはレノックスから5,000ドル札を受け取り、その金を受け取るほどの仕事はしていない、と考える。小説が出版されたのは1953年だ。この5,000ドル札は今で言うと、どれくらいの価値があるのだろう。

 

ネットで調べてみると、計算している人たちはたくさんいるようだ。自分もやってみることにした。

 

まず参考にしたのは日銀のサイト。

https://www.boj.or.jp/announcements/education/oshiete/history/j12.htm/

 

現在価値を正確に測ることはできないが、企業物価指数や消費者物価指数を使えば大体の価値をつかむことはできる、ということらしい。なるほど。

 

ロング・グッドバイ」がアメリカで出版されたのは1953年なので、その頃の消費者物価指数を使うことにする。アメリカの消費者物価指数アメリ労働省労働統計局が毎月発表している。

https://beta.bls.gov/dataViewer/view/timeseries/CUUR0000SA0

 

1953年Octは27.0、2019年Octは257.346。この二つの数字を使えば、1953年の現在価値は約9.53倍であることがわかる。

10月を選んだのは、現時点で発表されている最新のデータが10月だったから。1953年の消費者物価指数(CPI)は26.5〜27.0の間で推移しているので、9.53〜9.71倍になる。概算なのでこれくらいのブレはそれほど問題にはならないだろう。

 

2019年12月2日の為替は終値108.98円なので、約1,038.72倍。大まかにいうと、1,000倍すれば良い、と言うことになる。つまり、5,000ドル札は5,000,000円。マーロウはレノックスから500万円札を受け取ったのだ。その札をポンと出せるレノックスが一体どういう人物なのか、その金額からも想像させられる。

 

舞台も年代も全く違うけれど、「カラマーゾフ」も1,000をかければ良かったはずだ。(先日のNHKの番組でも亀山さんがおっしゃっていた)その言葉に従えば、3,000ルーブルは3,000,000円。ミーチャは300万円の乱痴気騒ぎは、実は150万円しかかかっていなかったんだ! と主張するわけだ。ミーチャは相当派手に金を使ったんだということだけは分かる。

 

それにしても小説の中で飛び交う金は派手だな。