木曜日20時、不定期更新。 小説、映画について書きます。 推理小説中心です。

原理が分からないものが「魔法」

 

魔法の世紀

魔法の世紀

 

 

落合陽一さんの初期に出版した本。彼の考え方の基礎をなす部分が書かれている。のちに書かれた本は、「魔法の世紀」を前提にして書かれているので、まずここを理解する必要があるらしい。

 

本書では、魔法の世紀の基本原理は、コンピュータであると説く。「魔法」とは理性や科学の領域に属さない、不思議な現象のことだ。人は、本当に美しいものを見たとき、圧倒され、感動する。「なぜ?」「どうやって?」という知性が働き出すのはその後だ。芸術にはまず「魔法」がある。その「魔法」を生み出すために、コンピュータを使い、光や音を操るのである。

  

岩井俊雄さんやライゾマティクスの仕事を見たことのある私としては、頷ける部分が多かった。メディアアートが他の芸術と何が違うのか考えてみると、「未来の可能性」が含まれているところだと思う。iphoneが登場した時もそうだった。そんな未来がやってきたらすごくいい! という、期待が生まれる。「魔法の世紀」に生み出されるメディアアートは、人々の心に光を灯す。「科学や技術の発展が、人々の暮らしを豊かにする」という思想とも密接に絡み合っているようにも思う。