階級社会を愛している人たち
南北戦争前夜の話。売られてしまった奴隷の妻を取り戻すため、主人公のジャンゴはドイツ系移民のシュルツとともにミシシッピの農場主のところに乗り込む。
舞台はアメリカ。ジャンゴとシュルツが出会うのはテキサス。三兄弟がいたプランテーションはテネシー、最後のプランターとの戦いはミシシッピである。
地図でいうとこのあたり。
歴史に忠実な映画ではないけれど、舞台設定は奴隷制と切っても切れない関係にある。「11の国のアメリカ史」でいう深南部である。
テキサス、テネシーの後、ミシシッピに行くのは危険だ、というニュアンスのやりとりがある。「11の国〜」を読んでいるとそのイメージがより具体的になる。黒人に対する差別が強い、ジャンゴにとってはかなり危険な地域である。
「ボストンに一週間も行くなんて!」とミシシッピのプランターが弁護士と一緒に大爆笑するシーンがある。しかしシュルツは全く笑えない。それは深南部とミッドランドの価値観の違いだろう。