テンションは右肩上がり
読みながら、荒木飛呂彦さんの漫画術を思い出した。
物語は右肩上がりになっていくものであって、決して下がることはない、という少年漫画の原則を荒木さんが書いていた。主人公のオリバーも同じような立ち位置に置かれているように感じた。恐怖や怒り、悲しみ、喜びは感じるけれど、自信を失ったり、深く思い悩んだりすることはない。
けれどもその法則性と主人公のキャラクターが結びついていなければ、説得力が生まれない。主人公がなぜそのようなメンタリティを持つに至ったかは、第一巻の最後、エピローグ部分で描かれる。彼はこれから起きるであろうことをすべて予想している。特別な訓練を受けていて実力もあるし、学園に関する知識もある。考え抜いて行動しているからこそ、ちょっとやそっとのことので動じることはないのだ。
彼の視点で世界を見ていくと、自分が強くなったような感じがする。他の誰も知らない世界の秘密を知っている。全然負ける気がしない。そんな第一巻だった。