ガープの目を通して、この世界を見ると
ジョン・アーヴィングの作品。小説家、ガープの一生について語られる。
特に印象に残ったのは、ガープが悲劇と喜劇の作品について語るところだ。彼の目から見ると、我々の周りで巻き起こる出来事は、悲しみと笑いが共存するような出来事で満ちている。読者である我々は、彼の目を通して、この世界を新たな視点で見直すことになる。
アーヴィングの小説はかなりドラマチックかつ暴力的な事件が起きる。それによって物語がドライブしていく。本作でもそうだし、「ホテル・ニューハンプシャー」でも事故や心臓麻痺でたくさんの人が突然死したりする。
人の死はとても悲しいことなのだけれど、その発端となった出来事だけを取り出してみると、あまりにもばかばかしいことだったりする。
そうした、笑いと悲しみが同居するシーンをつなぎ、ストーリーを紡ぐというアーヴィングの作品は、他にはない味わいがある。